パーソナリティ障害
パーソナリティ障害
序論
ここには、持続する傾向をもち、
個人の特徴的な生活様式と自己と他人との関係の仕方で現れる
臨床上意義のあるさまざまな状態と行動パターンが含まれる。
これらの状態と行動パターンのあるものは、
個人の発達早期に体質的な因子と社会的経験の両方の結果として現れるが、
他のものは人生のより後期に獲得される。
<特定のパーソナリティ障害>
特定のパーソナリティ障害は、通常、パーソナリティのいくつかの領域を含む、
性格構造と行動傾向の重度の障害があり、
ほとんど常に個人的あるいは社会的にかなりの崩壊を伴っている
パーソナリティ障害は小児期後期あるいは青年期に現れる傾向があり、
成人期に入って明らかとなり持続する。
それゆえ、パーソナリティ障害が16歳ないし17歳以前に適切に
診断されるということは疑わしい。
すべてのパーソナリティ障害に適用される全般的な診断ガイドラインを以下にあげる。
診断ガイドライン
粗大な大脳の損傷や疾病、
あるいは他の精神科的障害に直接起因しない状態で、以下の基準を満たす。
① きわめて調和を欠いた態度と行動を示し、通常いくつかの機能領域、
たとえば感情、興奮、衝動統制(自分の衝動や欲求をコントロールする能力)
知覚と思考の様式、および他人との関係の仕方などにわたる。
② 異常行動パターンは持続し、長く存続するもので、
精神疾患のエピソード中だけに限って起こるものではない。
③ 異常行動パターンは広汎にわたり、
個人的および社会的状況の広い範囲で適応不全が明らかである。
④ 上記の症状発現は、常に小児期あるいは青年期に始まり、
成人期に入っても持続する。
⑤ この障害は個人的な相当な苦痛を引き起こすが、
それが明らかになるのはかなり経過した後からのこともある。
⑥この障害は通常、しかしいつでもないが、
職業的および社会的遂行能力の重大な障害を伴っている。
以下、亜型
<妄想性パーソナリティ障害>
以下によって特徴づけられるパーソナリティ障害
① 退けられたり、拒まれたりすることに過度に敏感であること。
② ずっと恨みを抱き続ける傾向、たとえば侮られたり、
辱められたりあるいは軽蔑されたりしたことを忘れないこと。
③ 疑い深いこと、および体験を歪曲する傾向がすべてにわたり、
他人の中立的あるいは友好的な行動を敵意あるもの、
あるいは馬鹿にしているものと誤解する。
④ 現実の状況に適合せず、戦闘的にまた執拗に個人的権利を意識すること。
⑤ 配偶者あるいは性的パートナーの性的貞節を、正当な理由なしに、繰り返し疑うこと。
⑥ 常に自分を引き合いに出す態度に現れる、過度の自尊心を抱く傾向。
⑦ 自分の周りや世間一般に起こる出来事について、
「陰謀がる」という実証のない解釈に没頭すること。
<統合失調質パーソナリティ障害>
以下の記述を満たすパーソナリティ障害
① 何らかの活動をしても、ほとんど喜びが得られないこと。
② 感情的な冷淡さ、無関心な態度あるいは平板化した感情を示すこと。
③ 他人に対する温かい優しい感情や怒りの表出の乏しいこと。
④ 称賛にも批判にも無関心なこと。
⑤ 他人と性的関係をもつことにわずかしか興味を示さないこと。
⑥ ほとんどいつも孤立した活動を好んで選ぶこと。
⑦ 過度に空想や内省に没頭すること。
⑧ 親密な友人や信頼できる人間関係をもたず(またはたった一人だけ)、
またそれを望みもしないこと。
⑨ 支配的な社会的規範および習慣に対して著しく敏感なこと。
<強迫性パーソナリティ障害>
以下によって特徴づけられるパーソナリティ障害
① 過度の疑いと警戒の感情
② 細部、規則、目録、順序、構成あるいは予定へのこだわり。
③ 課題の終了を妨げる完全癖。
④ 過度の誠実さ、几帳面さ、および娯楽や対人関係を排除するほどの
生産性への不適切な没入。
⑤ 社会的習慣に対して過度に杓子定規で融通が利かないこと。
⑥ 堅苦しさと強情さ。
⑦ 他人が自分のやり方に正確に従うよう強要すること、
あるいは他人がすることをしぶしぶ承認すること。
⑧ 執拗で嫌な思考あるいは衝動の侵入。
ICD-10 精神および行動の障害
精神保健福祉士・介護福祉士
伊藤 大宜