気分変調症とは
気分変調症とは
- 主要症状
持続性抑うつ障害(以下、気分変調症)の主要症状としては、
2年以上続く抑うつ気分や自尊心の低下、
不眠や過眠、食欲低下や増加、集中力の低下、絶望感などがあり、
うつ病の主要症状と重なるものが多い。
気分変調症は、うつ病よりも重症度の低いケースが多いが、
ほとんど1日中続く抑うつ気分が、
少なくとも2年間(子供や青年においては1年間)以上続くことが
必須の診断基準となっており、この期間の長さがうつ病とは大きく異なる。
- 診断基準
気分変調症(DSM-5診断基準の症状リスト)
① 2年以上持続する抑うつ気分
② 食欲の減退
③ 不眠または過眠
④ 気力の減退または疲労感
⑤ 自尊心の低下
⑥ 集中力の低下または決断困難
⑦ 絶望感
2年以上持続する抑うつ気分を必須として、
そのほか、上記の症状のうち2つ以上を満たすことが必要となる。
さらには、その症状が社会場面、職場、学校などで機能障害を引き起こし、
他の物質(薬物など)や医学的疾患の作用によるものではないこと、
他の精神病性障害の診断ではうまく説明されないことも条件となる。
- 治療
薬物療法ほか、心理療法、運動療法などがある。運動療法では、
週3日以上の有酸素運動が望まれ、
強度は中程度のものを一定時間継続することが推奨されているが、
虚血性心疾患、脳疾患、筋骨格系の疾患がある場合には
施行を控えることが望ましい。
気分変調症の患者は、
対人関係における問題やストレス脆弱性がある場合が多いため、
心理療法は薬物療法とともに重要な治療法の1つとなる。
専門的な心理介入はもちろん、患者や家族に支持的にかかわり、
心理教育を行うことも大切である。
特に、仕事や家庭での休養が必要な場合には、
休養できる環境を整えるためにも、
家族や関係者に疾患教育や治療方針の説明を行うことが望ましい。
参考)編集 下山晴彦/中嶋義文『精神医療・臨床心理の知識と技法』
発行所 医学書院
精神保健福祉士・介護福祉士
伊藤 大宜