犬さんの予防接種
飼い犬の予防接種受けて
―狂犬病対策 沖縄の現状―
2025/5/8 沖縄タイムス掲載
6万3141頭、3万2930頭?この数字みなさん何の数字かわかりますか?
これは、沖縄県の令和5年度末現在の
「都道府県別の犬の登録数と予防接種頭数」の推移です(厚生労働省)。
6万頭余りが役所に届けている頭数、3万頭、約半分の犬が狂犬病予防接種を受けた頭数です。
約半分、2頭に1頭は予防接種を受けていません。
全国平均は70.2%です。沖縄県はワースト1位を毎年維持しています。
ここで狂犬病のことですが、みなさん狂犬病という病気ご存知ですか?
「狂犬病はよく知っているけど、具体的には知らない」
「よく聞くけど、どんな病気かと聞かれれば、答えられない」などよく聞きます。
狂犬病とは、狂犬病ウイルスに感染し発症します。
感染経路は、感染した動物に咬まれて感染、
人を含めすべての哺乳類が感染します。症状は、
潜伏期間が1~3カ月程度、発症は、不安感、興奮、麻痺等の神経症状です。
発症後は、ほぼ100%死亡します。日本で狂犬病予防法ができたのは、
1950(昭和25)年頃で、犬をつないで飼うことが普及し
「けい留の義務」ができてからです。
また「人と動物の共通感染症(ズーノーシス)」では、
狂犬病以外に、オウム病(オウム、インコなど)、
サルモネラ症(カメなどの爬虫類からの感染が多い)などが知られています。
ここで重要なのが、「動物愛護管理法(動物の愛護及び管理に関する法律)」の第1条です。
この法律の目的は、
「人の生命・身体・財産の侵害や生活環境への影響の防止」と
「動物の健康や安全の保持を図ること」となっています。
また狂犬病予防法には、「飼い犬の登録と予防接種の義務化」
「鑑札や剤票をつけていない犬の抑留」「狂犬病の検疫を受けていない犬の輸出入禁止」
などを表示しています。
日本は、世界的に見ても狂犬病の清浄国です。
この法律のおかげで撲滅に寄与しました。
2016年時点で他国の狂犬病清浄国は、
日本とオーストラリア、アイスランドやノルウェーの一部、
アイルランドなどわずかで、その他の国では、
いまだに年間100人前後の死亡推定者がいると思われます。
沖縄の現状はどうでしょうか、届出のある頭数だけで見ても、
2頭に1頭は予防接種を受けていません。
届け出ていない犬も多く存在しています。
毎年、行政から予防接種の案内が届くかと思います。
動物愛護管理法にもあるように、
管理者の義務を考え、人と犬さんが健康に暮らせるようにしたいものです。
精神保健福祉士・介護福祉士
愛玩動物飼養管理士
伊藤大宜