愛着障害
愛着障害は、乳幼児期に特定の養育者(母親・父親など)との
愛着形成がうまくいかず、問題を抱えている状態のことを指します。
愛着障害とは?
愛着とは、特定の人物に対して深い感情的な絆を形成することです。
赤ちゃんは、生後まもなくから母親や主な世話をする人に対して愛着を形成し、
安心感や安定感を得ます。
この愛着形成がうまくいかないと、将来的な対人関係や心の発達に
影響を与える可能性があります。
愛着障害の原因
愛着障害の原因として、以下のものが挙げられます。
- 虐待: 身体的、性的、心理的な虐待は、子どもに強い不安や恐怖を与え、健全な愛着形成を阻害します。
- ネグレクト: 子どもに必要な世話や関心が十分に与えられない状態です。
- 養育者の精神的な問題: 精神疾患やアルコール依存症など、養育者の精神的な問題も愛着障害のリスクを高めます。
- 頻繁な養育者の交代: 里親や養子縁組など、頻繁な養育者の交代は、子どもにとって大きなストレスとなり、愛着形成を困難にします。
愛着障害の種類
愛着障害には、大きく分けて以下の2つのタイプがあります。
- 反応性愛着障害: 他者との関係を築くことを恐れ、人に対して警戒心や不信感を抱きやすいタイプです。
- 脱抑制型愛着障害: 誰にでもすぐに懐き、境界線を引くことが難しいタイプです。
愛着障害の特徴
愛着障害を持つ人は、以下のような特徴を示すことがあります。
- 対人関係の困難: 他人を信頼することが難しく、親密な関係を築くことが苦手です。
- 不安感や孤独感: 常に不安を感じ、孤独感に悩まされることがあります。
- 自己肯定感の低さ: 自分の価値を認められず、自己肯定感が低い傾向があります。
- 衝動的な行動: 強い感情を抑えられず、衝動的な行動をとることがあります。
- 感情の調節が難しい: 喜怒哀楽の感情をコントロールすることが難しく、感情の起伏が激しいことがあります。
愛着障害の影響
愛着障害は、大人になってからも様々な問題を引き起こす可能性があります。
- 対人関係: 恋愛関係や友人関係が上手くいかない
- 仕事: 集中力やコミュニケーション能力が低い
- 精神的な問題: うつ病、不安障害、依存症など
愛着障害の治療
愛着障害の治療には、心理療法が有効です。心理療法では、
過去に起きたトラウマを癒し、健全な対人関係を築くためのスキルを習得します。
最後に
愛着障害は、本人の努力だけでは乗り越えられない場合もあります。
もし、ご自身が愛着障害に悩んでいると感じたら、
一人で抱え込まずに、専門家(精神科医、臨床心理士など)に相談することをおすすめします。
精神保健福祉士・介護福祉士
伊藤 大宜