統合失調症 急性期~慢性期
統合失調症の急性期について
統合失調症は、幻覚や妄想などの症状が現れる精神疾患です。
この病気には、症状の現れ方や経過によって
様々な段階がありますが、その中でも「急性期」は、
症状が最も激しく、本人にとっても周囲にとっても大変な時期です。
急性期とは?
急性期とは、統合失調症の症状が急に現れ、
最も激しい状態のことを指します。
この期間は、通常1か月から数か月続きます。
急性期の主な症状
- 幻覚: 実在しないものが見える、聞こえるなどの感覚異常
- 幻聴が最も多く、声が聞こえる、命令されるといった体験をする
- 幻視、幻触、幻味など
- 妄想: 根拠のない確信を持つ
- 自分が監視されている、害されていると信じる
- 特別な能力を持っていると信じる
- 思考の障害: 考えがまとまらず、話が支離滅裂になる
- 感情の障害: 喜怒哀楽が不安定になり、感情の起伏が激しい
- 行動の異常: 不眠、興奮状態、引きこもりなど
急性期の原因
統合失調症の詳しい原因は解明されていませんが、
脳の神経伝達物質のバランスの乱れや、
遺伝的な要因などが考えられています。
また、ストレスや環境の変化も、発症を促すことがあると言われています。
急性期の治療
急性期の治療は、
薬物療法が中心となります。
幻覚や妄想などの陽性症状を抑えるための
抗精神病薬が主に使用されます。
薬物療法以外に、以下の治療も併用されることがあります。
- 精神療法: 患者さんの状態に合わせて、認知行動療法や精神分析などを行います。
- 社会復帰支援: 入院中から、退院後の生活に向けて、社会復帰を支援します。
急性期を乗り越えるために
急性期は、患者さんだけでなく、
ご家族にとっても大変な時期です。
- 専門医の指示に従う: 医師の指示通りに薬を飲み、定期的に通院することが大切です。
- 周囲の理解とサポート: 家族や友人、地域の支援機関の力を借りることが大切です。
- 無理のない生活: 十分な睡眠をとり、バランスの取れた食事を心がけましょう。
- ストレスを溜めない: リラックスできる時間を作り、ストレスを溜めないようにしましょう。
慢性期へ
急性期が落ち着くと、慢性期に移行します。
慢性期には、急性期ほどの激しい症状はみられませんが、
症状の波があり、再発のリスクも高まります。
慢性期には、以下のようなことに注意が必要です。
- 定期的な通院: 症状の変化に気づき、早期に治療を開始するためにも、定期的な通院が大切です。
- 薬の継続: 医師の指示通りに薬を飲み続けましょう。
- 社会復帰: 社会生活を送れるように、リハビリテーションや職業訓練を受けることが大切です。
まとめ
統合失調症の急性期は、
患者さんだけでなく、ご家族にとっても大変な時期です。
しかし、適切な治療を受け、周囲のサポートがあれば、
必ず回復の兆しが見られます。
精神保健福祉士・介護福祉士
伊藤 大宜