森田療法全治の論理とは
森田療法全治の論理とは
神経症性障害のみならず心の問題は森田療法に
よって跡形もなく治る。
この優れた全治の特色は、一般の精神療法とは論理が
異なるからであって、森田療法でもうっかり普通の論理を
持ちこんでいると、治るのに長い時間がかかってしまう。
しかし森田先生はそういうことをおっしゃっていただろうか、
と心配される方もいらっしゃるだろう。
それはちゃんと「感情ニハ普通論理ニ従ワヌモノアリ」と
述べられておられる。だから「治らない」といっている人は
それを見逃がしているだけのことなのである。
普通に病気を治すというあの論理でがんばっているから、
いつまでたっても治らないわけなのだ。
早く「治す論理」から離れることをおすすめしたい。
この話は種あかしのようだが、けっしてそうではない。
種あかしなら分かってすむ話だが、
森田療法のほうは分かってすむ話ではなくて、
心の別種の論理のなかに放置して、外に向かっては
大いに活躍する道が開かれるのだ。
どうしたら世の中の人に役立つ仕事が見つかるか。
他人に喜ばれる仕事はもっとないか。
探してばかりいるような生活が始まるのである。
そういう社会的によいことを探して、どんどんやっていく時、
もう神経症性障害は存在せず、治ったかどうかなど
考えるひまもないのである。
こういう外に向かって緊張して次々仕事を見つける前進の姿を、
森田先生はすすめられ、治し方について質問する人に
「君はもっとハラハラしたまえ」といわれるのが
口癖のようだったと伝わっている。
(中略)すぐさま「今しなければならないことはなにか」と
探すならば、それはもう立派な全治の姿といってよいのである。
著者 宇佐 晋一『心の講話と全治の道』発行所 株式会社秀和システム
精神保健福祉士・介護福祉士
伊藤 大宜