スキーマとは
心理学におけるスキーマとは?
心理学における「スキーマ」とは、
過去の経験や知識に基づいて形成される、外界を理解するための枠組みのことです。
いわば、私たちの頭の中に存在する「心の地図」のようなもの。
この地図を使って、私たちは新しい情報を受け取り、世界を解釈しています。
スキーマの働き
- 情報の整理: 新しい情報が入ってくると、私たちは自動的にその情報を既存のスキーマに当てはめようとします。これにより、情報が整理され、より効率的に処理できるようになります。
- 予測: スキーマは、ある状況で何が起こるかを予測するのに役立ちます。例えば、「レストラン」というスキーマを持っていれば、レストランに入ったときに、メニューがあることや店員が注文を聞きに来ることなどを予測できます。
- 解釈: スキーマは、曖昧な情報や不足している情報を補完し、意味を解釈するのに役立ちます。
- 記憶: スキーマに一致する情報は、より記憶されやすくなります。
スキーマの例
- 「図書館」のスキーマ: 静かな場所、本がたくさんある、机で勉強する、など
- 「犬」のスキーマ: 四足歩行、毛が生えている、吠える、など
- 「面接」のスキーマ: スーツを着る、緊張する、自己紹介をする、など
スキーマがもたらす影響
スキーマは、私たちの思考や行動に大きな影響を与えます。
- 良い点:
- 効率的な情報処理: 新しい情報を素早く理解できる
- 予測に基づいた行動: 状況に合わせた適切な行動ができる
- 悪い点:
- 固定観念: 新しい情報がスキーマに合わない場合、受け入れにくくなる
- 偏見: 特定のグループに対して否定的なスキーマを持っていると、偏見が生じる
- 自己実現の予言: ある状況についてネガティブなスキーマを持っていると、その状況でうまくいかない可能性が高まる
スキーマの変容
スキーマは、新しい経験や情報によって変化します。しかし、一度形成されたスキーマはなかなか変えにくいものです。
まとめ
スキーマは、私たちの認知や行動を形作る上で非常に重要な役割を果たしています。
スキーマについて理解することで、自分の思考パターンや行動パターンを客観的に見直し、
より柔軟な思考や行動ができるようになるかもしれません。
精神保健福祉士・介護福祉士
伊藤 大宜