自閉スペクトラム症(ASD)とは?
自閉スペクトラム症(ASD)とは?
自閉スペクトラム症(ASD)は、脳の発達の個性の一つであり、
対人関係、コミュニケーション、そして行動の特性を示す神経発達障害です。
かつては「高機能自閉症」や「アスペルガー症候群」など、
様々な呼び名がありましたが、現在はすべて「自閉スペクトラム症」としてひとまとめにされています。
1.ASDの特徴
ASDの特徴は、人によって様々で、軽度から重度まで幅広く存在します。
主な特徴としては、以下のものが挙げられます。
① 対人関係の困難さ
・相手の気持ちを読み取ることが難しい
・友達との付き合い方が苦手
・視線があわせにくい
・表情や仕草が乏しい
② コミュニケーションの特性
・言葉の理解や表現が難しい
・話し方が独特だったり、一方的だったりする
・相手の言葉のニュアンスを捉えにくい
③ 限られた興味やこだわり
・特定のものごとに対して強い興味を示す
・同じ行動を繰り返す
・変化を嫌う
④ 感覚の過敏さや鈍感
・音や光、触覚などに過敏に反応する
・痛みを感じにくい
⑤ 社会性の困難さ
・社会的なルールや常識が理解しにくい
・状況に応じた行動が難しい
2.ASDの原因
ASDの原因は、まだ完全に解明されていませんが、
遺伝的な要因や環境的な要因が複雑に絡み合っていると考えられています。
3.ASDの支援
ASDの支援は、個々の特性に合わせて行うことが重要です。
① コミュニケーション支援
AAC(代替・補完コミュニケーション)の利用、SST(ソーシャルスキルトレーニング)など
② 感覚統合療法
感覚過敏や鈍感に対応するための療法
③ 心理療法
悩みや不安に対応するための心理療法
④ 環境調整
生活環境や学習環境を調整することで、より快適に過ごせるようにする
4.ASDに関する注意点
① 個人差が大きい
ASDといっても、一人ひとりの症状や特性は大きく異なります。
② 周囲の理解が大切
ASDの方の特性を理解し、適切な支援を行うことが大切です。
③ 早期発見・早期支援
早期に診断を受けることで、適切な支援を受けることができます。
5.ASDに関する誤解
① 知的障害があるわけではない
ASDの多くは知的な発達に遅れはありません。
② 治る病気ではない
ASDは、一生付き合っていく病気ですが、
適切な支援を受けることで、より豊かな生活を送ることができます。
まとめ
ASDは、脳の発達の個性であり、様々な特性を示す神経発達障害です。
周囲の理解と適切な支援によって、ASDの方たちも、より豊かな生活を送ることができます。
精神保健福祉士・介護福祉士
伊藤 大宜