社会的学習
社会的学習
人間は、他者の行動を観察することで、
さまざまな新しい行動を学習することができる。
多くの社会的な習慣や態度や行動は、
特定の条件下において他者からの影響を受けて
学習される。バンデューラは、「社会的学習理論」を提唱し、
直接的な経験や報酬や罰による強化は、
学習にとって不可欠ではなく、強化がない場合でも、
社会的状況との相互関係の中で学習が成立することを示した。
その後バンデューラは、
自身の理論の名称を「社会的認知理論」と変更し、
それまでの社会的学習理論に認知的要因を取り込み、
より包括的に発展させた。
バンデューラらによる実験では、
(現実の大人が人形に対してののしったり暴力を振るったりする
さまを子供に観察させた場合、
静かに遊んでいた中立的な大人を観察した場合に比べ、
のちにより多くの攻撃行動を示した。)という。
このように、他者の行動を観察することで自身の行動が変容する
ことはモデリングと呼ばれ、
モデリングによって成立する学習の様式は、
観察学習といわれる。
この攻撃行動のモデリングは、
映像や漫画のモデルにおいても生じるという
実験結果も得られている。
これらの実験では、
日常的にアニメやゲームにおける暴力的な
シーンを観察することにより、
子供の攻撃行動の頻度が増す可能性を示している。
さらに、さまざまな向社会的行動や
ソーシャルスキルの獲得においても、
モデリングが重要な役割を果たすことが指摘されている。
近年情報メディアが多様化する中、
子供達がそれらのメディアからの情報を受けることで、
攻撃行動に限らずさまざまな行動を学習していると考えられる。
精神保健福祉士・介護福祉士
伊藤 大宜