森田理論から考える~「性格は変わり得る」
「性格は変わり得る」
著者 岩井寛『森田療法』
神経症の患者さんと面接していると、
「僕は生まれつきの性格だから」とか、「生来が暗いんですよ」とか、
「もって生まれた性格は改まりませんよ」などという言葉を
しばしば耳にする。
そんなとき、筆者(岩井寛)は、
「もし、あなた方の性格がまったく変わらないとしたら、
神経症の治療を受けても治らないということになります。
しかし、神経症が治るということは、その人が自分の身体を考える考え方や、
人に対する考え方や態度が、少なくとも病前とは変わるということでしょう。
性格というのは、その人の知・情・意の指向性をいうのだと私は理解しているので、
神経症が治ることによって、その指向性が変わるのであり、
しががって性格の全部ではないが、
ある部分は変わるといえるのではないでしょうか」
と考えるのである。
ここで、筆者(岩井寛)の性格に対する理論をごく簡単に述べておこう。
「筆者(岩井寛)は、現在ある人が保有している性格を「現性格」と呼んでいる。
そして現性格は「一次的性格」と「二次的性格」から成ると考えられている。
一時的性格というのは、その人がもって生まれた遺伝形質や
体質からなる先天的なものを指す。
これは、Aという人とBという人の顔が異なるように、
各々に異なったものを継承した性格である。
ところが、一時的性格よりもその後に形成される二次的性格の方が、
より大きく「現性格」形成にあずかっているのであって、(中略)
神経症が治癒するということは、
性格形成の特定の時期の葛藤も変化するのであり、
それにともなって、「現性格」も変わると考えられるのである。」
以上のように、神経質性格は、先天的なものに加えて
後天的な要因が非常に大きいのである。
ものの考え方を変えるのに正しいも間違いもありません。
考え方は各々自由ですが、偏った思考形成は自分自身、ときに
相手を攻撃してしまいます。
自分を俯瞰で観察することも大切なことなんでしょう。
参考)
著者 岩井 寛『森田療法』発行所 株式会社講談社
精神保健福祉士・介護福祉士
森田療法家
伊藤 大宜