印象形成とは
印象形成
日々の生活の中で、
「自分が期待するようには、自分を理解してもらえない」
と感じることが少なくない。
おおかたは、場面による影響や思い込みなどなく、
自分はそれなりに「表現」でき、
相手のことを「わかる」と思っている。
しかし、気づかずにいくつかのルールに左右されている。
会っても間もない人についても、
普段、私たちは相手のなんらかの特徴について
判断を行っている。
たとえ、直接に会ったことのない人物についても、
他人などからの情報に基づいて同様の判断を行っている。
このような判断はいったん作られると容易には
変化しにくいものである。
このように少ない、断片的な情報をもとにしながら、
しかも、それが間接的なものであっても、
私たちはまとまった判断を下している。これを「印象形成」という。
印象形成とは、
私たちが他人に対して抱く印象がどのように
形成されるのかを説明する心理学の概念です。
① 限られた情報から全体像を構築するプロセス
外見、言動、身振り手振りなど、
相手から得られる断片的な情報をもとに、
その人の性格や能力、価値観といった全体的なイメージを形成します。
② 第一印象の重要性
初めて出会った際の印象は、
後の印象に大きな影響を与えやすいと言われています。
③ 様々な要因が影響
外見、言葉遣い、行動、過去の経験、
ステレオタイプなど、
様々な要因が複合的に作用し、印象は形成されます。
印象形成に影響を与える要因
① 中心特性
特に印象を左右する重要な特徴のことです。
例えば、「温かい」や「冷たい」といった言葉は、
他の特徴の解釈に大きな影響を与えます。
② 呈示順序効果
情報が提示される順番によって、
印象が異なって形成されることがあります。
③ 文脈効果
情報が提示される状況や文脈によって、
印象が変化することがあります。
④ ステレオタイプ
特定の集団に対して持っている固定的なイメージが、
その集団のメンバーに対する印象に影響を与えることがあります。
印象形成のメカニズム
① 暗黙の人格理論
人々は、ある特徴を持つ人は、
他の特定の特徴も持っているだろうという
暗黙の理論を持っています。
この理論に基づいて、限られた情報から
全体的な印象を推測します。
② ハロー効果
ある特徴に対して良い印象を持つと、
他の特徴も良く評価してしまう傾向です。
③ ホーン効果
ある特徴に対して悪い印象を持つと、
他の特徴も悪く評価してしまう傾向です。
印象形成の重要性
① 対人関係
印象形成は、
人と人との関係を円滑にする上で重要な役割を果たします。
② コミュニケーション
相手の印象を正しく把握することで、
より効果的なコミュニケーションが可能になります。
③ 社会生活
社会生活において、
私たちは常に他者との関わりの中で生きています。
印象形成は、その中で重要な役割を果たします。
印象形成に関する注意点
① 第一印象は必ずしも正確ではない
初めての印象は、
後の情報によって修正されることがあります。
② ステレオタイプに注意
ステレオタイプに基づいた判断は、
誤った印象を与えたり、
差別につながる可能性があります。
③ 客観的な情報に基づいて判断する
限られた情報だけでなく、
様々な角度から情報を収集し、
客観的に判断することが重要です。
まとめ
印象形成は、
私たちの日常生活において非常に重要な役割を
果たしています。
しかし、印象形成は必ずしも正確ではなく、
様々な要因によって影響を受けることを
理解しておくことが大切です。
参考)『心理学検定』 発行所 実務教育出版
精神保健福祉士・介護福祉士
伊藤 大宜