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養生訓~貝原益軒

養生訓

―日本人が伝えてきた予防健康法・貝原益軒―

 

こころを安らかにして、からだを動かす

 

こころはからだの主人(これを天君といいます)です。
この主人が安らかであることが大切です。
からだはこころに従うものです。動かして働かせなくてはいけません。
こころが安らかで静かだと、天君は豊かであり、
苦しみなく楽しみます。
からだが動いて働けば、飲食したものは滞らずに、
血液や気はめぐるので病気になりません。

 益軒は、ここで養生を実践する上で大切な、
こころとからだの関係と、それぞれのあるべき姿を明らかにしています。
穏やかで安らいだこころと、
それに従い動くからだが理想的な関係だと述べています。
一見矛盾するようですが、とても大切なことを説いています。
こころが静かで安定しているからこそ、
きちんとからだを制御できるのであり、
からだがここに従って正しく動いていれば病気になることはありません。

 

自らをあざむかない

 

 養生の要は、自らをあざむかないように戒めて、
じゅうぶんに忍ぶことです。自らをあざむくとは、
自分ですでに悪いことだと知っていることを、
きらわずにすることをいいます。
悪いことだと知っていてするのは、悪をきらうことが真実ではない、
ということです。
これが、自らをあざむくことです。
あざむくとは、真実ではないことです。
食事に限っていえば、たくさん食べることが悪いことだと知っているが、
悪いことをきらうこころが真実でないと、たくさん食べてしまいます。
これが自らをあざむくことです。
その他のことも、みなこれをもとに知るべきです。

 まず何が真実であるかを知ること、
そしてそれを知っている自分をあざむかないことが大切です。
人は、つねにあざむく傾向があります。
益軒は、こうした人のこころの傾向をよくわかっています。

 アーユルヴェーダでは、
こころが何かを決定する能力のことを「理知」と呼びます。
この理知が、悪いと知っているのに実行することを決定します。
益軒が、悪いことをきらうこころが真実でないと、
表現しているのは、このように理知が間違った決定を
することを指しており、
アーユルヴェーダではそれを「理知の誤り」と表現します。

 

著者 貝原益軒 編訳者 蓮村 誠『新釈 養生訓』発行所 ㈱PHP研究所


精神保健福祉士・介護福祉士

伊藤 大宜

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