ヒポコンドリー性基調説とは~森田理論
ヒポコンドリー性基調説とは
ヒポコンドリー性基調説は、
特定の性格傾向や思考パターンが、
心身症の発症や悪化に関与しているとする考え方です。
ヒポコンドリーとは、健康な状態にもかかわらず、
深刻な病気に罹患しているのではないかと
過度に心配する傾向を指します。
ヒポコンドリー性基調説では、このヒポコンドリー的な性格が、
身体の不調を過度に意識させ、
心身症の発症や症状の悪化を招く一因になると考えられています。
ヒポコンドリー性基調説の特徴
- 身体症状への過敏な反応: ヒポコンドリー傾向を持つ人は、わずかな身体の不調も深刻な病気の兆候だと捉えがちです。
- 健康情報への過度な関心: 健康に関する情報に過度にこだわり、自分の症状と結びつけて考えがちです。
- 医療機関への受診頻度が高い: 少しでも身体に異変を感じると、すぐに医療機関を受診する傾向があります。
- 医師の診断を疑う: 医師から健康であると診断されても、納得できず、別の医師に再診するケースも少なくありません。
心身症との関連性
心身症は、心理的な要因が身体症状を引き起こす病気です。
ヒポコンドリー性基調説では、
ヒポコンドリー的な性格が、
心身症の発症に以下のメカニズムで関与すると考えられています。
- ストレスの増大: 健康への過度の不安は、ストレスを増加させ、自律神経のバランスを崩します。
- 身体への悪影響: ストレスは、免疫機能の低下や内分泌系の乱れなど、身体に様々な悪影響を与えます。
- 疼痛の増強: ストレスは、痛みの感覚を鋭敏にし、痛みをより強く感じさせることがあります。
まとめ
ヒポコンドリー性基調説は、
心身症の理解の一つの側面を示していますが、
心身症は多様な要因が複雑に絡み合って発症する病気です。
そのため、ヒポコンドリー的な性格だけでなく、
他の要因も考慮した包括的な治療が必要となります。
精神保健福祉士・介護福祉士
伊藤 大宜