「読む、書く、体操、ボランティア」~隠居文化と戦え!三浦 清一郎
隠居文化と戦え
隠居文化と戦うということは、「社会から離れるな」ということです。
社会と切れなければ、必ず何らかの「役割」に巡り会って、
「活動」を続けられることができます。
人との縁も切れません。後期高齢者を生き抜こうとするなら、
「社会と切れず」、「楽をせず」、「活動を続ける」ことがカギです。
この3つが守れなければ、医者や健康指南書の細かい助言を守っても、
早晩、老衰が加速して、滅びます。
活動とは、「頭を使い」、「身体を使い」、「気を使う」ことですから、
廃用症候群を予防するのです。「適度な活動」は、
バランスよく私たちの日常に「負荷」をかけてくれます。
「負荷」とは、「荷を背負う」という意味ですから、
「楽をすること」の反対です。
言い換えれば、「負荷」をかけるとは、心身の機能を働かせることです。
「現在の自分ができること以上のことをやろうとする」、
といってもいいでしょう。
それゆえ、運動も勉強も心身に「負荷」をかけることです。
もちろん、社会的活動には必ず「負荷」が伴います。
教育は、計画的に負荷をかけるということです。
それゆえ、「負荷」をかけるとは、「鍛える」ことと同じ意味です。
子どもを見れば明らかでしょう。
「楽」をして暮らせれば、筋肉も、頭も、こころも鍛えることはできません。
元気の「カギ」は、「活動」であり、活動がもたらす「適切な負荷」です。
「活動」を続けたから、元気なのであり、元気だから活動を続けたのではありません。
「適切な負荷」の重要性は、人生のどの時期でも同じです。
青少年期の発達にも、心身の機能が低下する高齢期の機能維持にも、
「適切な負荷」はなくてはならない条件です。
なかんずく高齢期に「適切な負荷」があるか否かは、
高齢者の生死を分けます。
頭も、身体も、心も「適切な負荷」をかけ続けることで、
鍛えることも、維持することもできるからです。それゆえ、
隠居文化の最大の危険は、楽をして、負荷を避けようとすることです。
使わない機能はやがて衰えて駄目になるからです。
高齢期の「手入れ」とは、なにをどうすればいいのか?
日本人の健康寿命と平均寿命の落差が中々縮まらないのは、
隠居文化のせいです。
定年後の前期高齢期を「楽」して暮らすからです!
自身の暮らし方を分析してみて、偶然気付いたことですか、
「初めに楽をすれば」、「後で倒れる」という一般原理の存在に気付いたのです。
「隠居」とは、「社会から離れ」「世間から隠れて住む」ことです。
それゆえ、健康寿命の戦略原理は、隠居の特性を逆手に取った3条件です。
すなわち、
「社会から離れない」、「楽をしない」、「活動を続ける」です。
方法論は、今まで提案してきた通り「読み、書き、体操、ボランティア」の4つです。
高齢者の活力維持は上記の3つの原理を守り、
4つの方法を日々実践しなければ、細かい助言にしたがっても滅びます。
何よりも、退職後に、楽をして暮らそうとしたら、
高齢者は「滅ぶ」ということです。
それゆえ、高齢者教育の目的は、
3つの原理と4つの方法を常時、高齢者に呼びかけるということです。
精神保健福祉士・介護福祉士
伊藤 大宜