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女性の健康心理学

女性の健康心理学

 

 健康上の問題や寿命などには、性差が存在します。
そして、周期性(月経サイクル)があり、
妊娠・出産を経験することも女性の特徴といえます。
また、この周期性は、心理社会的要因と密接に関係し、
例えばストレスが負荷されることで周期性が乱れ、
身体的・心理的な不調を呈することも少なくありません。
そして、女性の心身の健康は、周期性をはじめとした生物学的要因に
依存するばかりではなく、
他者やメディアなど女性を取り巻く社会的な環境からの影響を多大に受けます。

 

月経と更年期障害

 

 月経には個人差があり、
痛みや不快感を伴うため、個人のQOLを低下させる要因にもなり得ます。
女性の月経サイクルは、卵胞期・排卵期・黄体期・月経の4段階に分類されます。
このサイクルは、ホルモンバランスの変化により生じるもので、
月経サイクルに応じて生理的変化のみならず心理的な変化が生じます。

 WHOは、月経前に生じる不快な心身症状を月経前症候群(PMS)と定義づけています。
PMSの特徴は身体的症状と心理的症状とに分けられ、
前者では、胸の張りやめまい、頭痛、身体のほてり、
吐き気、肌の不調、便秘などが挙げられます。
後者では、イライラや抑うつ、不安、絶望感、心理的不安定さ、
集中力の欠如などが挙げられます。
また、PMSと類似する概念として、
アメリカ精神医学会から刊行されているDSM-5では、
月経前不快気分障害(PMDD)が示され、
PMSで生じる精神症状がまとめられています。(中略)

 

 中年期にでは、卵巣からのエストロゲンとプロゲストロンの分泌が減少し、
卵巣の機能が低下するとともに、排卵の頻度が減り、閉経に至ります。

 閉経は個人差が大きとされていますが、
50歳前後とされます。
また、閉経の時期に近づくと、
ホルモンバランスの変化などから、
心身の不調を呈することがあり、こうした不調は更年期障害と呼ばれます。

 更年期障害の症状は、ほてり、のぼせ、血圧の変化、
動機、耳鳴り、微熱、うつ状態、不安、神経過敏、集中力の低下、
頭痛、疲労、倦怠感などが挙げられます。
更年期障害の障害として、
PMSと同様に身体的症状と心理的症状の両者が存在します。

 

妊娠・出産

 

 妊娠・出産は女性特有のライフイベントです。
妊娠中には、個人差はありますが、
つわりや頻尿、便秘、眠気、気分の変化、不安定さ、
いらいらなどが生じることがあります。
このように、心理的変化を経験する可能性も高いことから、
周囲の心理的サポートも必要不可欠です。
なお、15歳未満の妊娠の場合、妊娠中毒症や低体重、
低栄養児を出産するリスクが高まり、
35歳以上の妊娠の場合、高血圧や妊娠糖尿病、
分娩時合併症などのリスクが高まるとされています。

 

 特に出産後、2~3日後に生じる落ち込みや不安など
気分の変化をマタニティーブルーと呼びます。
マタニティーブルーは出産に伴うホルモン変化、
エストロゲンとプロゲステロンの急激な減少が自律神経に影響を及ぼすことが
原因と考えられています。
また、こうした生理的変化に加え、
子どもを出産したことによる生活の変化や育児に伴う
睡眠時間の減少あるいは睡眠バランスの変化、
育児不安や孤独感なども影響します。
したがって、マタニティーブルーの状態にある女性に対して、
妊娠時と同様に心理的サポートが必要不可欠です。
パートナーをはじめとした家族の何気ない言動が
マタニティーブルーを抱える女性のみならず、
妊娠・出産を経験する女性にはプレッシャーとなり、
思わぬ心の傷を負わせてしまうこともあります。
ある種、通常とはことなる心理状態そして身体的状態にあることを
周囲が認識しながら支援することが求められます。

 

 マタニティーブルーは一過性であることが多く、
数週間で自然とおさまることが期待できます。
一方で、気分の落ち込みや過度の不安が長期にわたり持続される場合、
産後うつ病が発症している可能性があります。
こうした場合、心療内科をはじめとした医療機関を受診することも必要です。

 

 

著者 山蔦 圭輔『ベーシック健康心理学』発行所 株式会社ナカニシヤ出版



精神保健福祉士・介護福祉士

伊藤 大宜

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