「感情の法則」~森田理論
「感情の法則」~森田理論
森田療法でよく用いられるコトバがあります。
「不安心即安心」というものです。私たちがもっとも鋭敏に感じ、
それをめぐってさまざまな考えを引き出すのが感情です。
その感情にどのように接していくのかが重要です。
観念、思想で感情を操作しようとすると、思想の矛盾に陥ります。
そのような心的態度と対照的なのが、この「不安心即安心」です。
不安のままでいるこころ、あるいは不安を
そのまま抱えられる心の器があれば、不安を受け入れることができ、
それがそのまま安心となるのです。
このような不安を受け入れるこころが育ってくると、
感情は本来の生き生きとした性質を取り戻していきます。
それを森田は「感情の法則」と名づけました。
森田の挙げる感情の事実の要約は以下のようなものです。
1) 感情は、そのままに放任し、あるいは自然発動のままに従えば、その経過は山形の曲線をなし、ついには消失します。
2) 感情はその感覚になれるに従い、その鋭さを失い、次第に感じなくなっていきます。
3) 感情はその刺激が継続して起きる時と、注意をそれに集中する時にますます強くなります。
つまりこのような「感情の法則」を正確に知ることで、
不快な感情の対処が容易になります。
人間の感情は自然なもので誰の責任でもなく、
それはただ時に任せて放置するしかないという、
自己の感情の事実に対する認知と受容の重要性の指摘です。
人間の行動は相当分自分の意志で行えるという、
実践的行動の勧めであります。
参考)
著者 北西 憲二 中村 敬『森田療法』出版社 ミネルヴァ書房
精神保健福祉士・介護福祉士
森田療法家
伊藤 大宜