脳の偏桃体のはなし
扁桃体の活動:感情の司令塔
扁桃体は、
脳の深部に位置する小さな器官ですが、
私たちの感情や行動に大きな影響を与えています。
特に、恐怖や不安といったネガティブな感情に
深く関わっていることが知られています。
扁桃体の役割
- 感情処理: 扁桃体は、外界からの情報を瞬時に評価し、それが自分にとって危険か安全かを判断します。危険と判断した場合、心拍数や血圧を上昇させ、筋肉を緊張させるなど、身体を戦闘または逃走の状態に備えさせます。
- 記憶形成: 扁桃体は、感情的に強い出来事と結びついた記憶を強化する役割も担っています。例えば、トラウマ体験は、扁桃体によって感情的に強い記憶として脳に刻み込まれ、その後もその記憶が繰り返し想起されることがあります。
- 社会的行動: 扁桃体は、他者とのコミュニケーションや社会的な相互作用にも関わっています。例えば、相手の表情や声のトーンから感情を読み取り、それに応じた行動をとる際に重要な役割を果たします。
扁桃体の過剰な活動
扁桃体の活動が過剰になると、
様々な問題を引き起こす可能性があります。
- 不安障害: パニック障害、特定の恐怖症、社会不安障害など、様々な不安障害の発症に関与していると考えられています。
- うつ病: 慢性的なストレスによって扁桃体が過剰に活動すると、うつ病を発症するリスクが高まります。
- PTSD: トラウマ体験によって扁桃体が過敏になり、PTSDを発症することがあります。
扁桃体の働きをコントロールする
扁桃体の働きをコントロールすることで、
不安やストレスを軽減できる可能性があります。
- 認知行動療法: 認知行動療法は、歪んだ認知や非適応的な行動パターンを修正することで、不安や恐怖心を軽減する効果が期待できます。
- 瞑想: 瞑想は、扁桃体の活動を抑制し、前頭前野の活動を活性化させることで、心の安定をもたらします。
- 運動: 運動は、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌を抑制し、セロトニンの分泌を促進することで、気分を高揚させます。
まとめ
扁桃体は、私たちの感情や行動をコントロールする
上で非常に重要な役割を果たしています。
扁桃体の働きを理解し、適切な対処法を身につけることで、
より健やかな生活を送ることができるでしょう。
精神保健福祉士・介護福祉士
伊藤 大宜