「転換性障害」や「解離性障害」といわれるもの
ヒステリーの転換症状について
ヒステリーという言葉は、
現代の医学ではあまり使用されなくなり、
「転換性障害」や「解離性障害」と呼ばれるようになりました。
これらの障害は、強いストレスや心理的な葛藤を、
身体的な症状に置き換えてしまうことを特徴としています。
転換症状とは?
転換症状とは、ヒステリーにおける代表的な症状で、
心理的な問題が、身体の機能に直接的な障害がないにも関わらず、
あたかも神経系の病気のような症状として現れることです。
主な転換症状
- 運動機能の障害:
- 歩くのが困難になる
- 手足が痺れる
- 突然、立てなくなる
- 意識を失う(心因性けいれん)
- 感覚機能の障害:
- 視力や聴力が低下する
- 味覚や嗅覚が鈍くなる
- 皮膚感覚がなくなる
- 他の症状:
- 声が出なくなる(失声)
- 嚥下困難
- 呼吸困難
これらの症状は、脳の器質的な異常ではなく、
心理的な要因が原因となっているため、
神経学的検査では異常が見られないことが多いです。
転換症状が起こる原因
転換症状は、強いストレスや心理的な葛藤を、
意識的にではなく無意識のうちに身体症状に転換することで、
その苦痛から逃れようとする一種の防御反応と考えられています。
- 過去のトラウマ: 子供の頃の虐待やいじめなどのトラウマ体験
- 家族関係の悩み: 家族との関係性がうまくいかず、ストレスを抱えている
- 社会的なプレッシャー: 仕事や人間関係でのストレス
- パーソナリティ: 抑圧的な性格や感情表現が苦手な人
転換症状の特徴
- 神経学的検査で異常が見られない: MRIや脳波などの検査では、通常は異常が見つかりません。
- 症状と心理状態の関係: 症状が出たり消えたりすることが、心理状態と関連していることがあります。
- 二次的な利得: 病気を理由に、周囲の人の世話を受けたり、責任から解放されたりといった二次的な利得を得ている場合もあります。
治療
転換症状の治療は、心理療法が中心となります。
- 認知行動療法: 歪んだ認知や行動パターンを修正し、症状の改善を目指します。
- 対人関係療法: 対人関係の改善を通して、心の安定を図ります。
- 精神分析: 無意識の心の働きを探り、症状の原因となっている心理的な葛藤を解決します。
大切なのは、身体的な問題がないことを理解し、心理的な問題に対処することです。
「ヒステリー性格(解離性障害/転換性障害」
神経質性格と裏腹にあるのが「ヒステリー性格」である。
上記にあるように、現代医学では、
解離性障害や転換性障害といわれる。
ヒステリー性格の者は、神経質(症)者とは異なった意味で、
自己顕示性が強く身勝手である。
神経質者の場合は自己内省力が人一倍強いが、
ヒステリー者は自己内省をすることはほとんどない。
また、神経質者は、甘えることができず、
人に依存することができにくいのに対して、
ヒステリー者は、どこまでも人に甘え、依存し、
その上で自分の勝手な感情や意志を通そうとする。
したがって、外見上は神経質者のそれと異なって非常に明るいが、
つき合っていると、身勝手でうんざりさせられる。
なお、ヒステリー者は、状態で自分の思いが通らないと、
無意識のうちに自分自身の身体に病気や異常な状態を作り出して、
人々の注意を自分に惹きつけようとする。
これがヒステリーの転換症状と呼ばれる病になるのである。
参考)
著者 岩井 寛『森田療法』発行所 株式会社講談社
精神保健福祉士・介護福祉士
森田療法家
伊藤 大宜