虚妄分別とは
虚妄分別とは?
虚妄分別(きょもうぶんべつ)とは、
仏教、特に唯識学で用いられる言葉で、
私たちの心の働きの一つを指します。
簡単に言うと
物事をありのままに見ない、歪めて見てしまう心の働きのことです。
自分にとって都合の良いように、または固定観念に基づいて、
世界を解釈してしまうことです。
もう少し詳しく
- 縁起によって生じた法(ものごと)を実体として誤認すること
- 言語的な認識を通して、経験の基盤を作り出すこと
- 煩悩を生み出す根本的な原因
なぜ虚妄分別が問題になるのか
苦悩の原因となる虚妄分別によって、
私たちは「自分」や「ものごと」を固定的な
実体として捉えてしまい、そこから執着や不安が生じます。
本当の自分を見失い、虚妄分別によって、
私たちは本当の自分ではなく、自分自身で作り上げた
「自分」の姿に囚われてしまいます。
虚妄分別がある限り、私たちは物事をありのままに見ることができないということです。
例え話
- 夢を現実と混同する: 寝ている時に見る夢を、まるで現実のことのように信じてしまう。
- 鏡の中の像を自分だと勘違いする: 鏡に映った自分の姿を見て、それが自分自身だと信じてしまう。
虚妄分別を克服するために
自分の心の働きを観察し、虚妄分別に気づく。
自己観察を行うことにより、自分の思考パターンや感情に気付く。
まとめ
虚妄分別は、私たちが日常生活を送る上で無意識に行っている心の働きです。
精神保健福祉士・介護福祉士
伊藤 大宜