心の健康の鍵は「自律神経」
心の健康の鍵は「自律神経」
生命維持を自動制御する自律神経
自律神経とは何か?
人体には大きく2つの神経がある。
それが「随意神経」と「不随意神経」だ。
随意神経とは、文字通り自分の意思でコントロールできる神経のこと。
たとえば、転びそうなときに足を前に踏み出すといった筋肉の動きを
つかさどっている。瞬間的な反射であっても、
大脳が随意神経をコントールして対応する。
この随意神経には、運動神経と感覚神経がある。
一方、不随意神経は、
自分の意思でコントロールできない神経のことで、内臓の働きをつかさどっている。
たとえば、道路を渡ろうとしたら、
反対車線から猛スピードの自動車がきた。
私たちは随意神経でそれをよけるが、恐怖を経験したことで、
心臓がドキドキしたり、喉が渇いたり、手から汗が出たりといった反応が現れる。
このような反応を引き起こすのが不随意神経であり、
自律神経だ。基本的には生存や生命維持に関わる反応を、
自動的にコントロールしている。
この自律神経にも2種類あり、交換神経、副交感神経に分けられる。
・興奮して活動的になるのが「交感神経」
・体を休息させるのが「副交感神経」
交感神経は、興奮・緊張・ストレスなど人体を活性化させる。
やる気や集中力を出して戦うときに優位になる神経だ。
個体としての生存が脅かされる状況では、交感神経が活発になり、
不安、焦り、動悸などの多様な反応が出る。
急激に強い光を見たときに瞳孔が閉じる、
おいしそうな食べ物を見て唾が出る、
血圧が下がってくると血管を収縮させ血圧を上げようとする。
酸素が必要なときは呼吸が速まる。などもすべて同様である。
副交感神経は、休息・リラックス・快復など人体を落ち着かせる。
体を休息させ、回復させる神経である。
夜寝る前のリラックスしたときや寝ているときなどの休憩中、
ゆったりとした呼吸をしているときなどは、副交感神経が優位になっている。
大切なのは、この交感神経と副交感神経のバランスが取れていることだ。
この状態を「自律神経が整う」という。
私たちはたいてい日中活動的になるため、
交感神経が優位になっている時間が長い。
この状態がずっと続いていると、体の疲れやダメージが抜けない状態になってしまう。
そこで、
人体は副交感神経を優位にすることで、体を回復させる方向に向かおうとするのだ。
この2つの自律神経がバランスよく働いていることで、
健康な心と体の状態を保つことができている。
著者 溝口 徹『心の不調の9割は食事で治る』発行所 フォレスト出版株式会社
精神保健福祉士・介護福祉士
伊藤大宜