八味地横丸
八味地黄丸
「実験的糖尿病および実験的高脂血症に対する漢方方剤の効果(八味地黄丸)」
―後藤 正子 井上 肇 瀬山 義幸 山下 三郎 井上 治 弓岡 栄三郎―
(要約)漢方方剤(八味地黄丸)のエキスについて、
実験的サイプロヘプタジン糖尿病における糖負荷時の血統低下作用、
および高脂肪食投与による実験的高脂血症における血清脂質低下作用を比較検討した。
その結果、2)八味地黄丸は糖負荷30、120分後の高血糖を低下させたが、
この時の血清インスリン値の上昇は認められず、
むしろ血清グルカゴン値を上昇し、
大柴胡湯とは異なる血統低下作用機序を有すると考えられる。
また、この方剤には高脂血症の低下作用は認められない。
(以下、論文参照)
(緒言)糖尿病患者には高脂血症を合併する症例も多く、
糖尿病、高脂血症は共に動脈硬化の成因の一因子として指摘されている。
従って、糖尿病の治療には血統低下と共に高脂血症を改善し、
動脈硬化も抑制することは臨床上重要と考えられる。
すでに、(八味地黄丸)は証にもとづき
糖尿病適応漢方方剤として分類されている。(以下、論文参照)
(考察)・・・(論文参照)その結果、
八味地黄丸には糖負荷試験時の耐糖能を改善する作用が認められた。
さらに、八味地黄丸は血糖を低下させるが、
血清グルカゴン値を増加させたがインスリン値を変化させず、
八味地黄丸と大柴胡湯との血糖低下作用機序は異なると考えられる。
(以下、論文参照)
「排尿障害に対する保存的治療について」
―特にツムラ八味地黄丸の検討― 栗田 考・八竹 直・秋山 隆弘・南 光二
プロスタティズムは前立腺疾患由来の尿路の機能障害を総称した臨床像と定義されている。
これらの疾患群には明らかに器質的障害に基づくものが多くみられるが、
ときには機能障害が加味され、病像を複雑にしている傾向があり、
保存的、薬物的治療が許容される背景になっている。
今回、プロスタティズム、
とくに中心となる前立腺肥大症などによる排尿障害に対して漢方の古法に基づく
八味地黄丸による治療を行った。
(対象および検査方法)
対象としたのは1978年~8ヵ月、
治療法はツムラ八味地黄丸5g、1日2回、食前に服用する旨、
指示し、2週間以上服用した56例について投与前後の臨床像を比較検討した。
なお56例の投与期間は2週間以上4週以下は8例であり、
残りは4週以上投与し、症例によっては4か月をこえるもの数例含まれている。
対象となった疾患は前立腺肥大症が中心である。
(以下、論文参照)
(成績と判定)
主訴は排尿困難が最も多くみられた、
頻尿もしくは夜間頻尿がこれに続いて多く、
残尿感はあんがい少ない頻度であり、
実際に残尿を有した症例は2~3例にすぎなかった。
2週間以上投与したのち、
主訴の変化をみると排尿困難に関しては32例中15例に、
頻尿では25例中9例に改善がみられ、
とくに夜間頻尿の改善には有効であった。
また残尿感に関しては14例中4例にのみ改善されたにすぎなかった。
(以下、論文参照)
精神保健福祉士・介護福祉士
伊藤 大宜